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パート2:分野別優先課題   パンデミック下での「行動の10年」

政府の優先課題に対応する、市民社会の優先課題

③ すべての世代のすべての人の健康と福祉の実現

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高齢化、経済状況、障害、国籍・民族、情報、保健医療アクセス、社会的・環境的要因など 

大切にしたい視点

重点となる政策提言 (重点政策)

外国人移住者が適切な保健医療サービスにアクセスできるよう制度の変更

国内で急速に増える外国人労働者や技能実習生及び留学生に対し、日本での外国人医療の促進や、日本での外国人医療の「医療通訳」 の新設・拡充、すべての人にセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスサービスを含む必要な医療保健サービスを提供する仕組みづくりを行う必要があります。緊急医療へのアクセスについては在留資格の有無にかかわらず保障する必要があります。そのために実現可能な制度の整備が必要です。

「誰も取り残さないUHC」実現のための支援

UHC達成に向けて、日本政府は新しく策定した「グローバルヘルス戦略」の下でリーダーシップを発揮し、各国政府が国家保健計画を策定し、保健に対するGDP5%以上の国家予算の投資を行い、衡平な方法により国内資金動員を促進し、医療費の利用者負担の撤廃や強固なアカウンタビリティ・メカニズムの構築を行えるように支援してください。またこうしたプロセスにおける市民社会の参画を促進してください。日本NGO連携無償や草の根技術協力でUHC・保健課題を重点化し、日本のNGOによるUHC関連プロジェクトの実施を拡大することが必要です。草の根・人間の安全保障無償で保健案件を重点化し、現地NGOが日本のODA資金により簡便かつ透明性のある形でアクセスできるようにし、日本と現地のNGOの協働によるコミュニティUHC促進イニシアティブ形成をしてください。そして、最も疎外され周縁化されたコミュニティを優先した「誰も取り残さないUHC」取り組みへの支援が重要です。特に、成年・未成年の女性、移住者・移民・難民・出稼ぎ労働者や移動する人々、少数民族、HIV陽性者、LGBT、薬物使用者、高齢者、子ども、障害者等へのUHCの実現が必要です。

ポストCOVID-19で危惧されるNCDsへの備え

コロナ禍で不透明な社会経済状況が長期化していることによるメンタルヘルスへの悪影響や、長期間の外出自粛で非感染性疾患(NCDs)の悪化や新規罹患が増大していることを踏まえ、(1)予防手段の啓発や取り組みの実施促進、(2)医療機関へのアクセス方法の周知、アクセスの簡便化などを図る必要があります。特にCOVID-19による医療需要がある程度縮小した段階でNCDsやメンタルヘルスの予防・診断・治療の需要を吸収できるような保健医療財政とキャパシティの拡大が必要です。

社会保障制度の持続可能性の強化

保健医療や公衆衛生を含む社会保障制度は、憲法第25条に規定された健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するものです。政府・地方自治体は、COVID-19の教訓を踏まえ、地球規模感染症への対応力強化をも視野に入れ、感染症対策を含む公衆衛生への取り組みの強化、COVID-19対策による生活困窮に対する、公的扶助を含む社会保障制度の最大限の活用、国民・市民やコミュニティレベルでの保健にかかわる自助・共助の活動に対する資金的・技術的な支援が強化される必要があります。一方、COVID-19の教訓を踏まえた住民参画型での地域包括ケアシステムの再構築や、関連する諸制度との連携・協働の促進が図られる必要があります。社会保障制度の持続性の観点については、COVID-19の教訓を踏まえて、市民が質の高い保健医療にアクセスする権利の保障を前提に、「財政均衡」にとどまらない観点から「持続可能性」の考え方を再定義し、健康への権利の主体である国民・市民と責務履行者としての政府・地方自治体の関係の在り方について熟議し、合意を形成していく必要があります。

AMR対策へ一層のコミットメント

「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)」に基づくAMR対策が一定の成果を収めてきた。今後は第2次AMRアクションプランを早急に策定し、抗菌薬の「適正使用」、それを支える「サーベイランス」と「検査体制」の整備を着実に進めると共に、パンデミックに対する備え及び安全保障の観点から、抗菌薬の持続的な研究開発を可能にする「インセンティブ」の構築と抗菌薬の「安定供給」の担保が求められる。抗菌薬は現代医療の根幹を支えており、AMR対策の推進を通じたUHCへの貢献を推進すべきである。また、気候変動によりAMRを含む感染症のリスクが拡大しています。気候変動と同様、AMR対策は市民社会からのアクションとワンヘルス・アプローチに基づいた実効性のある取組が急務です。医療・介護・畜水産・獣医療・食品・環境・投資等の関係者がそれぞれの所属を超えて分野横断的に連携すべきです。

東京栄養サミット2021のコミットメントを受けた栄養改善への支援展開・強化

2021年12月に開催された「東京栄養サミット2021」で日本政府が行った3,000億円のコミットメントを受けた明確な拠出計画、案件形成と支援の展開、モニタリング及びレポーティングの実施を求めます。コロナ禍や紛争、気候変動で深刻な課題となる飢餓・栄養不良・食料不足への対応、また肥満や非感染性疾患を予防する社会環境・食生活環境の整備といった課題への取り組みが求められます。子どもの発育阻害や肥満、非感染性疾患の防止のためには、食事習慣や適切な栄養指導の保健システムへの統合が必要であり、またNGOや栄養士などを含む専門性を持つステークホルダーとの協力が不可欠です。さらに、食生活に関する選択肢が少ない状況に置かれている都市貧困層に対しては非感染性疾患の原因となる因子(塩、砂糖、トランス脂肪酸、アルコール等)の需要及び供給の削減と、より栄養価が高く非感染性疾患を生じさせない食物の選択肢の確保が不可欠であり、そのためには、食品・飲料産業の生産・販売戦略の見直しや協力、政府による規制強化も必要とされます。さらに、気候変動や紛争により深刻化する飢餓問題に対し、危機の発生を予防する先行的行動への投資と飢餓への緊急支援が求められます。

多様な政策提言 (個別政策)

SRHRの推進

包括的性教育を小学校から導入し、とくに若者に向け避妊や中絶の正確な情報を含むセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスの情報・教育を提供する。緊急避妊薬(アフターピル)の市販化や経口妊娠中絶薬(ミフェプリストン)の承認、及び経口妊娠中絶薬の入手に配偶者等の同意を条件としないなどの施策を進めセクシュアル・リプロダクティブ・サービスへのアクセスを向上する。

質の高いプライマリー・ヘルス・ケアを核としたUHCの推進

UHCの中で十分に議論されていない、予防やコミュニティベースの保健への取り組みを重点化し、持続可能な資金的・技術的支援を行う。

日本での外国人医療の促進

外国人労働者の保健医療サービス(リプロダクディブ・ヘルスを含む)へのアクセスを保障し、さらに病気やけがを理由とした解雇や帰国といったことが起こらないよう制度の変更をする必要があります。また、一部の自治体で行っている「未払医療補填制度」について、全国レベルでの政策の策定と普及が求められます。

日本などが開発する新薬・新規保健技術へのアクセス改善

日本や他のアジア先進国などで開発された新薬・新規診断・医療技術の途上国における迅速な普及促進のための統合的な政策の策定と実施が重要です。この際、これらの新規技術の「地球規模の公共財」としての側面をどのように実体化するかをグローバルヘルス戦略の下で議論する必要があります。

栄養改善のための農業推進と孤児作物の見直し

特定の地域で昔から摂取されてきた栄養価の高い作物で近代的な生産の改良の対象などになっていない作物(孤児作物)を見直し、食料の安全保障や栄養改善にもつなげてください。アフリカでは 既にコンソーシアムなども設立されています。

疾病の回復だけではない健康寿命の延伸

疾病の治癒と生命維持を目的とした「キュア」に加えて、生活の質の維持・向上を目的とした「ケア」の重要性をより高く位置付けることが求められます。生活の質の維持・向上は、身体的、精神的、社会的観点、すなわち人間の尊厳が考慮されることにより達成可能なものです。

オールジャパンでのアジア・太平洋地域のマラリア排除達成

APLMA・APMENとの連携を強化し、産官学・NGO協働で、①ODA案件等によるマラリア対策事業(無症候性マラリア対策ラストワンマイル)を通じて「取り残された人々」への必要不可欠な公共医療サービスを提供し、②①の達成のために現地のニーズと新技術開発、現地人材育成及びその技術・製品の普及推進を求めます。

NTDなど顧みられない病気の治療を開発するための研究開発の拡充と医薬品のアクセスの確保

NTDなど顧みられない病気で苦しんでいる患者さんに治療薬や治療法を開発するためには、医薬品開発の特性である低い成功確率を見越して、幅広い化合物を持ったポートフォリオを維持して研究開発を行うことが重要です。COVID-19によって顧みられない病気への関心が薄れる中で、顧みられない病気の治療薬を作り出すための研究開発はこれまでにも増して求められています。また作った治療薬や治療法を患者さんに届ける方策や資金的な手当てについても寄付に頼らない持続的な枠組みが必要です。

中所得国におけるHIVの「対策の鍵となる人口層」対策支援

社会の中でHIVなどの感染症に脆弱な状況に置かれている「対策のカギとなる人口層」(キーポピュレーション)について、日本の保健ODAの取り組みの柱の一つとして支援してください。特に現地市民社会・当事者組織を支援できるよう、日本の既存の二国間援助スキームを改革するとともに、この取り組みを実現できる人材の育成なども行う必要があります。ODA本体事業としての実施、NGO連携無償を活用した日本のNGOを経由しての実施、草の根・人間の安全保障無償の改善による現地NGOの支援など、複数のチャンネルによる支援を検討してください。HIVに関するキーポピュレーションに加え、COVID-19に関わるキーポピュレーション(高齢者、都市貧困層、貧困なNCDs患者、大気汚染による疾病の患者、ホームレス状態にある人等)を含めます。

アジア太平洋地域の結核候蔓延国での結核対策支援の強化

アジア太平洋地域で結核が高蔓延の状態にある中所得国が、一人当たり国民所得の向上等によりグローバルファンドの資金拠出の対象国から非対象国に移行する場合、その「移行計画」に協調する形で、結核対策システムの強化を中心に日本周辺の高蔓延国の中蔓延国化を図る。アジア太平洋結核対策イニシアティブとして戦略的に実施し、結核の診断と治療を拡大して薬剤耐性結核を含むAMRや他の感染症に対処することを求めます。

ライフコースに寄り添ったメンタルヘルスへのサポート

メンタルヘルスに関わる課題は国や地域・年齢・性別に関係なく誰しも共通する課題です。生産年齢人口におけるメンタルヘルス不調は経済活動にも影響を与え、また高齢期の認知症についても長寿化する社会においてQOLに大きく影響します。プライマリケアのレベルにおいて、それぞれのライフコースに合わせた形でメンタルヘルスへのケアが受けられる体制が必要です。また、COVID-19の影響によってメンタルヘルスへのさらにリスクは高まっており、若年層においてもその傾向は顕著です。一般的にすべてのメンタルヘルス不調を抱える人の半数が15歳より前に、75%が成人期初期までに発症していることを鑑みると、こども・青年への追加的な対応策を検討すべきです。

中山間地域に在住の高齢者の保健・医療アクセスの支援

COVID-19の影響で高齢者のQOLは大きく低下しました。ワクチン接種による感染や重症化の防止、治療の経験の積み重ねや技術の進展を踏まえ、ワクチン接種や様々な防疫活動によって作り出される均衡状態のもとで、地域包括ケアの再建をどのように実現できるかを検討し高齢者のQOLの早急な回復が求められます。

貧困層の医療アクセスの向上のための統合的取り組み

低所得者層の国民健康保険・国民年金等へのアクセスの改善や、生活保護法上の公的扶助の一つである「医療扶助」へのアクセスの簡便化を含め、各種制度を組み合わせ柔軟に活用してください。

2030年までの三大感染症の終息と多国間資金拠出機関への資金ニーズへの対応

2022年に展開されているグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)への第7次増資は、前回の30%増の180億ドルが目標です。日本も30%増の1.1億ドルを拠出表明するとともに、他のドナー国やその他の国々、民間財団等と協力して目標金額の達成に向けてリーダーシップを発揮する必要があります。

途上国の保健医療施設における水・衛生のアクセス改善

後発開発途上国の保健医療施設の50.4%において敷地内で清潔な水を利用することができず、世界の3分の1の保健医療施設で適切な手洗いができない状態です。COVID-19や将来的なパンデミックに備えるため、①UHC関連施策のなかで保健医療施設の水・衛生を重点課題とし、②各国政府による保健医療施設の水・衛生の改善を支援し、③保健医療施設の水・衛生の重要性を国際社会に発信することが重要です。

生命が健やかに暮らす環境で育てられた食の推進

効率化及びコスト削減優先の工業的な食料生産のシステムをシフトし、生態系を守り地域で育つ動植物/農作物との一体性及び命のつながりを重視した健やかな環境で育てられた安全、安心な食による健康の増進を求めます。

医薬品に関わる知的財産権保護の緩和や技術移転による公平なアクセスの促進

二国間・多国間の貿易交渉において、途上国における医薬品アクセスの普及を妨げる知的財産保護制度の要求を行わないこと、またパンデミック等の健康危機の際に知的財産権の障壁を取り除く取り組みが重要です。途上国における医薬品の研究開発や生産を促進するための技術移転やライセンス・技術共有等、医薬品への公平なアクセスを促進する国際社会及び国内の取り組みを主導・支持・支援してください。

水・衛生へのユニバーサルアクセスの実現

水・衛生(トイレ・衛生習慣)へのアクセスは、コミュニティが健康危機や気候変動による災害にレジリエントであるために不可欠です。日本政府は長年、水・衛生の最大ドナーであり、さらに資金拠出を拡大し、特に低所得国への水・衛生援助を拡大するとともにインフラのみならず、各国・地域の水・衛生システムの強化に注力することが重要です。

子ども、妊婦、胎児などもっとも化学物質の影響を受けやすい人を基準とした化学物質対策

国際がん研究機関(IARC)が発がん性2Aに指定したグリホサートを含む除草剤、他の殺虫剤、農薬、香害を含む化学物質過敏症に関連する化学物質等について、影響を最も受けやすい人を基準とした包括的な健康影響の検証、規制の実施を求めます。

PHRによる1人ひとりのエンパワーメント

必要な時に適切な方法で医療にかかるための「上手な医療のかかり方」を一人ひとりが実現できるようにその理解を促進し不安を払拭できるような、当事者参画のポストCOVID-19における医療提供体制と個人のあり方を変える開かれた議論が必要です。また、政府も推進している「医療DX」の推進においても、病院や薬局が保存・保管している個人の医療データ(PHR: Personal Health Record)を患者・当事者が管理することにより自分自身をより深く理解し、自ら意思決定をできる環境や具体策を生み出すためのマルチステークホルダー参画による開かれた議論が求められます。

患者・当事者のヘルスリテラシー向上と医療従事者への教育の拡充

患者・当事者と医療従事者が治療やケアについてともに考え、協働し、臨床現場において合意形成を行える状態を目指すため、医療従事者への教育を通じて患者・当事者の社会的、経済的、心理的に置かれた立場への理解を促すとともに、患者・当事者のヘルスリテラシーの向上を推進すべきです。

保健安全保障の徹底と備え

COVID-19をはじめとする急性ウイルス感染や、エボラウイルス病などの重篤なウイルス感染症などについて「アウトブレイク対策」にとどまらず、そもそもアウトブレイクが起こらないようにしていくことが必要です。特に、エボラウイルス病や急性ウイルス感染疾患等の場合には、アウトブレイクのリスクが高い地域の自然環境(熱帯林及び生物との関係)、社会、文化、政治、経済、軍事、及び当該地域社会がこれらの課題をどのように認識・把握しているかに注目し、特にリスクの高い地域における恒常的な取り組みによってレジリエントな社会を構築を目指す必要があります。

マラリアワクチン開発・製造促進支援

現在我が国においてマラリアワクチンの開発は大学などのアカデミアを中心とした企業連携で進められており、政府としてはGHITへの拠出等を通じてこの取り組みを支援しているが、臨床開発の後期段階(フェーズ3)以降に対する資金支援メニューがないことがひとつのネックになっています。既存の支援措置の拡充や新たな公的支援のあり方について検討し必要な措置が必要です。また、感染症危機管理に係る製薬産業を持続可能なシステムとして維持するために、感染症にかかる医薬品、医療機器の開発、製造販売を行う製薬企業への租税措置、薬価上の優遇などのインセンティブの構築が必要です。例えば「事前買い取り制度(備蓄)モデル」、「定期定額購買制度(サブスクリプション)モデル」の整備などを目指し、国際社会でのリーダーシップを発揮し、また有事におけるワクチン製造を想定して国内の汎用性があり高水準のワクチン製造設備の建設・維持に係る資金助成制度、租税特別措置、規制緩和など、必要な措置が求められます。

各国政府による衛生行動の促進の後押し

Hand Hygiene for All inititativeの枠組みで、現在、複数の途上国政府が「すべての人の手指衛生(Universal hand hygiene)」を達成するためのロードマップを策定中です。各国政府が同ロードマップを実行していくためには、財源ならびに技術支援が必要であり、これまで水・衛生の最大ドナーであった日本政府として本ロードマップ実施プロセスの支援を求めます。

パンデミックへの予防・備え・対応ができる強固で衡平で包摂的な保健システムの構築

COVID-19の医療品の不平等を解消し、衡平なアクセスを確保すると共に、必須保健・栄養サービスの中断による影響を受けている女性や子どもをはじめとする最も脆弱な立場に置かれた人々のサービスへのアクセス改善が重要です。パンデミックへの予防、備え、対応を改善し、必須保健・栄養サービスを維持できるよう、保健人材の育成、統合的なサービス提供、医療費の自己負担をなくす制度構築を含む、強固で衡平で包摂的な保健システムへの投資を通したUHCの達成への貢献を求めます。

COVID-19で打撃を受けた三大感染症への対応・資金強化

「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった感染症をなくす」ことがターゲット3.3ですがその進捗はCOVID-19により大きな打撃を受けており、これは人間の安全保障に関わることを政府として再認識する必要があります。既存の感染症への対応資金はCOVID-19へ分配され、結核では国連の目標の半分以下(41%)で、推定必要額にはるかに及ばない状態が続いています。UHC達成やパンデミックへの備えのスキームなどにおいても、三大感染症への資金配分が十分に振り向けられるように政府として留意することを求めます。

マラリア診断法の開発、治療にかかる創薬促進支援

我が国のマラリア対策統合戦略の一つの柱である、鋭敏かつ簡易な診断法の開発推進、そして、薬剤耐性マラリアの治療にかかる創薬への投資にも十分配慮してください。

マラリアに関する海外臨床研究についてのAMED、JICAの予算増額と対象拡大

海外臨床研究拠点形成についてAMED予算の増額と継続性を図り、また、JICAにおける海外の疫学研究や公衆衛生研究の支援で、開発中の医薬品等の臨床研究も対象に含めて支援する新たな枠組みを構築してください。

マラリア研究費の確保と人材育成

研究費や支援体制の問題により、我が国におけるワクチン開発等の創薬に携わる研究者の先細りが懸念されます。政府としても国立感染症研究所の定員を大幅に増員するなどの対応を取っているところですが、更なる対策が必要です。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合した日本版CDCが有効に機能する青写真の提示が必要で、それに伴う研究費や人員の配分等の仕組みを改めて再構築するなど、継続的な人材育成、研究費確保の対策を早急に講じてください。

アフリカ農業振興と連動したマラリア対策の実施

JICAによる農業振興事業においてODAにおける分野横断的なマラリア対策を講じてください。①気候変動による生態系や環境変容が引き起こすマラリア流行リスクを評価し、必要な対策を組み込む、また②水田稲作推進拡大によって新たなマラリア流行が予測される地域に対し、PPR(予防、備え、対応)を強化し、ヘルスセキュリティーを確保するなど、早期の事前警報システム整備や感染対策(診断、治療、ベクターコントロール)が必要です。

政府の優先課題に対応する、市民社会の優先課題

① みんなの人権が尊重され、貧困・格差のない、誰一人取り残さない社会

年齢、障害、先住性、国籍・民族、雇用形態など

大切にしたい視点

② ジェンダー平等が実現された社会

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ジェンダー、性的指向・性自認など

大切にしたい視点

③ すべての世代のすべての人の健康と福祉の実現

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高齢化、経済状況、障害、国籍・民族、情報、保健医療アクセス、社会的・環境的要因など 

大切にしたい視点

④ 持続可能な経済・社会・地域の実現

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少子高齢化、第1次産業、バリアフリー・ユニバーサルアクセス、零細・中小企業、科学技術の倫理・法・社会的側面など

大切にしたい視点

⑤ 災害の防止と被害の軽減、生活に必要なインフラの確保

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災害に対する脆弱性、人権、スフィア基準など

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⑥ 省エネ強化、再生可能エネルギーへの転換・気候変動への取組・循環型社会の実現

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気候変動、脱炭素社会、エネルギー転換など

大切にしたい視点

⑦ 生物多様性・森林・海洋等の環境の保全

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将来世代、国内や途上国の脆弱層 / 貧困層など 

大切にしたい視点

⑧ 平和・参加型民主主義、透明性と責任・司法アクセス

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グッド・ガバナンス、参加型意思決定、市民意識の醸成など

大切にしたい視点

⑨ あらゆる人・セクターのパートナーシップによるSDGs達成

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市民社会、「もっとも遠くにある人を第一に」など

大切にしたい視点

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