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国連「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」閉幕(7/7~7/16)

7月16日にSDGs達成の進捗を評価する「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」(以下、HLPF)が閉幕しました。2020年のテーマは「行動の加速化と変革の道筋:持続可能な開発に向けた行動と遂行に向けた10年の実現」でしたが、同時に、COVID-19のパンデミックにおける、SDGs達成のあり方についても議論されました。

2週間の会期中に繰り返されたキーワードが「Build Back Better(再建はより良いものに)」や「New Normal(新しい日常)」です。パンデミックが起こる前の社会では、貧困・格差の拡大やジェンダー不平等、生物多様性の損失など、SDGsの達成への多くの課題がありました。「with/afterコロナの世界」(*1)では、この未曽有の経験を経て、特定の意識や価値観、個人の行動様式がパンデミック前のものに戻るのではなく、新たな「当たり前」を作るべきだとする考え方です。


すでに在宅勤務を含めた多様な働き方の提案や消費行動の変化、オンライン教育の推進、エコ意識の高まりなど、社会で変化が生まれつつあります。その変化の中で、より「誰一人取り残さない」社会作りのために、若者や女性、障害者など、様々な当事者が発言することが重要だとされています。

HLPFでは、47か国が「自発的国別レビュー(VNR)」(*2)を発表し、どのように政府・自治体・市民社会・企業・研究機関などが連携しているのかについても共有がなされました。

持続可能で「誰一人取り残さない」社会を実現するための実践が、世界中で始まっています。SDGsジャパンは、会員団体と共に、他セクターとの連携を深め、市民社会からのSDGs達成を目指します。

*1: ここでは、治療薬やワクチンが製造されておらず、新しい生活様式を取り入れて新型コロナウイルスと共存する世界(withコロナ)と治療薬やワクチンが開発・量産されたコロナ後の世界(afterコロナ)を「with/afterコロナの世界」と表現しています。

*2: SDGs進捗状況の評価やSDGs達成に向けた実践紹介


 

以下、HLPFの閉会の挨拶の一部をご紹介します。

「2020年HLPF閉会の挨拶(7/16)」より、挨拶の一部をSDGsジャパンが翻訳

国連副事務総長 アミーナ・J・モハメッド氏


SDGsの進捗状況をレビューするために開催したHLPFからのメッセージは、非常に明確です。

私たちはこれまでSDGsの達成への軌道にうまく乗れていませんでした。そして、COVID-19により、その道のりはさらに険しくなっています。

事務総長が開会の発言で述べたように、「2030アジェンダ」達成に向けてこの状況を好転させるためには、私たちの働き方、学び方、生き方、消費の仕方を見直す必要があります。平等と持続可能性を求める若者の声に耳を傾け、私たちが意識して協調、協力することが、よりよい社会につながるのです。

国連創設75周年や生物多様性とジェンダー平等に関するハイレベル会合など、今年予定されている主要な会合を通じて、「2030アジェンダ」達成への機運を高めることが重要です。大きな目標を掲げ、高められた連帯を通じて、「2030アジェンダ」を達成することが人々と地球のために求められています。

(UN Photo/Mark Garten)


ECOSOC議長 モナ・ユール氏

COVID-19による影響からのより良い回復のためには、SDGsの分野横断的な相乗効果を基盤とした政策が必要です。


HLPFでは、SDGs達成に向けた活動を加速させるため6つの分野に着目しました。

  1. 福祉の向上:例えば、女子の学校教育機会の保障が、乳幼児と妊産婦の死亡率の低下につながります。

  2. 食料システムの見直し:社会の発展と農業の持続可能性、そして飢餓ゼロを達成するためには、食料システムの根本的な改革が必要です。

  3. 環境保護:パンデミックからのより良い回復のためには、気候変動や生物多様性の損失、土地や森林の破壊への対処が必要です。科学と先住民族文化は、相反するように見えて共に自然に根ざした解決が重要であることを示しています。この自然に根差した解決は、レジリエンス(回復力)を高める鍵となるのです。

  4. 持続可能なエネルギー:新たな世界では、地球上に暮らすすべての何十億人もの人々が経済的で、信頼できる、持続可能なエネルギーにアクセスできるようになる必要があります。

  5. 都市・地方開発:グローバルな取り組みを地域で実践するためには、自治体の役割が非常に重要です。

  6. 誰一人取り残さない成長:パンデミックから回復する上で、かつての社会に戻るべきではありません。

私たちは、かつての日常や社会に戻るべきではありません。なぜなら、それ自体に多くの課題があったからです。COVID-19からの回復の道のりは、「ニュー・ノーマル」を作るための貴重な機会です。

私たちは、COVID-19、気候変動、格差と差別の拡大といった世界的な混乱とリスクに直面しています。HLPFの開幕で若者たちが「なぜ私たちは変わろうとしないのか」「私たちはすでに、誰もが考えもしなかった変化を経験した」と声を上げました。そして「私たちは変われる。やるぞ」と言ってくれました。彼らに続きましょう。世界を良い方向に変化し回復していきましょう。


(UN Photo/Manuel Elias)


原文:国連ウェブサイト(英語)

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