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(スタッフブログ)SDGsウェディングケーキが教えてくれること

9月25日は何の日か、ご存じですか?


5年前のこの日、ニューヨークの国連総会で、すべての国連加盟国・地域の総意の下、SDGsを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ(通称:2030 アジェンダ)」が採択されました。この中心にあるのが、17 のゴールと169のターゲットから成る持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)、通称 SDGsです。


SDGsが採択された背景には、格差の拡大やジェンダー不平等、生物多様性の損失、気候変動といった、一国では解決ができない数多くの地球規模の課題があり、「このままでは地球は続かない」という、強い危機感がありました。また、2000年のミレニアム・サミットで採択されたミレニアム開発目標(MDGs)が途上国を対象に設定された数値目標であったのに対し、気候変動をはじめとする先進国も当事者として課題に向き合い、またその取り組みの評価を受けるべきであるという意見もありました。


今年、2020年9月25日、SDGsは誕生して5年を迎えました。



このSDGsを説明するときにしばしば使われるのが、「SDGsウェディングケーキモデル」です。スウェーデンの首都・ストックホルムにあるレジリエンス研究所長のヨハン・ロックストローム博士が考案した、SDGsの概念を表す構造モデルは、SDGsの全17目標を大きく3つの階層「経済圏(ECONOMY)」「社会圏(SOCIETY)」「生物圏(BIOSPHERE)」に分け、すべてのゴールが密接に関わっていることをウェディングケーキの形で表現しました。


「経済圏」の発展は、わたしたちの生活や教育などの社会条件によって可能となり、その経済の発展を可能にする「社会圏」は、一番下の「生物圏」、つまり私たちが生活しているその地域の自然の環境によって支えられていることを表しています。この生物圏は地球上でも南半球や北半球、大陸や島嶼部など多様であり、それが私たちの社会の多様性も作り出しています。そしてこの「生物圏」「社会圏」「経済圏」の頂点にはSDGsゴール17のパートナーシップが置かれています。「SDGsウェディングケーキの構図はSDGsの説明資料で目にしたことがある」、という方も多いでしょう。


SDGs市民社会ネットワークでは、9月25日に「SDGsが5歳になったお祝い」として、「SDGsウェディングケーキモデル」をリアルに再現してみるイベントを開催しました。


イベント概要はこちら


植物性食材のみでケーキを作る


SDGsの17のゴールの中でも危機的な状況にある「気候変動(ゴール13)」の原因に、わたしたちの食生活が関係していると言われています。2019年に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界の土地利用と気候変動に関する報告書で、食料システムから出る温暖化ガスは人の活動による排出量の21~37%になると推定しています。温暖化対策のためには穀類中心の食事が良いという考えから、ベジタリアンへ移行したり、肉食を止めないものの、肉を食べない日も設ける「フレキシタリアン」も、欧米では若者を中心に増えています(*1)。


SDGs市民社会ネットワークでは、今回ご縁をいただいて、日本のビーガンスイーツ界を代表するパティシエの皆さんにレシピを開発いただき、製菓専門学校の学生さんたちに制作に参加していただきました。


フードロスから生まれた野菜パウダーをはじめとした天然色素を使って17のゴールの色を表現するなど、動物性食材・白砂糖不使用のケーキは、SDGsウェディングケーキモデルを体現するのにふさわしいケーキと言えるでしょう。多くの方の参加・パートナーシップによって実現できたこともSDGs的と言えます。


イベントではケーキを試食する前に、敢えて日本で取り組みが不十分とされる5つのゴールの色の部分を外してみるという映像を撮影しました。ケーキからパーツが取り外されるたびに、3段に重ねられたケーキは徐々に崩れ、最終的にはすべてのゴールが傾いてしまいました。このことは、ひとつのゴールの達成が不十分であることは、その他のゴールのバランスを崩し、最終的に調和が崩れることを意味しています。


映像は現在SDGs市民社会ネットワークのサイトで公開しています。どのように崩れてしまったのか、ぜひチェックしてみてください!




長島美紀(一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク業務執行理事)


(*1)日本経済新聞「マクドナルドから肉が消える日」2019年1月19日(最終閲覧日2020年9月28日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54403680V10C20A1I10000/


 

このメッセージは日経BPが運営する「未来コトハジメ」でメルマガ登録をされた方へ2020年10月21日付で配信されたエッセイを加筆修正したものです。

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