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SDGsをめぐる日本政府の政策と市民社会のアドボカシー


(まとめ)

  • SDGsジャパンは、SDGsに取り組む日本のNPO/NGO(市民社会)のネットワークとして、政府の政策への政策提言(アドボカシー)を行っています。

  • 日本政府は「SDGsを日本の未来戦略の中心に据える」とし、「SDGs推進本部」(本部長:安倍総理)を設置して日本の経済成長戦略に積極的に位置づけています。

  • 日本政府のSDGs政策の基本方針は2016年末に制定された「SDGs実施指針」ですが、その後2017年末に「SDGsアクションプラン2018」が制定され、SDGs政策の軸は事実上このプランに移っています。

  • 「SDGs推進本部」の事務局は外務省が担っていますが、政府のSDGs政策の中心が科学技術イノベーション推進と地方創生に移る中、その役割は「リード役」から「とりまとめ役」へと変化しています。

  • SDGsジャパンは、SDGsの基本である「誰一人取り残さない」というコンセプトが政府のSDGs政策に反映されるように、NPO/NGOの声を集めて2018年「SDGsボトムアップ・アクションプラン」を策定し、政府への政策提言の中心に据えています。

 

1.「SDGsは日本の未来戦略の中心」

2018年6月に開かれた政府の「SDGs推進本部」会議で、本部長の安倍晋三内閣総理大臣は「SDGsを日本の未来戦略の中心に据える」と発言しました。実際、日本政府は日本の経済成長戦略、輸出戦略、中長期的な未来戦略の柱の一つとしてSDGsを位置づけ、その主流化と推進を図っています。

日本政府のSDGs政策の基本方針は、2016年12月に制定された「SDGs実施指針」です。政府のSDGs政策を統括するのは、総理を本部長とし、全閣僚が参加する「SDGs推進本部」です。同本部には、内閣官房副長官補を議長とし各省庁の幹部が参加する「幹事会」が置かれ、その事務局は外務省の地球規模課題総括課が務めています。「推進本部」の会議は、6月及び12月に閣議と同時に開催されています。

また、2016年、「SDGs実施指針」の策定のプロセスの中で、SDGs政策に関する市民社会や民間企業、有識者、その他の社会セクターの参画を実現するため、同じく外務省が事務局となって、各セクターの委員14名からなる「SDGs推進円卓会議」が設置されました。NGO、市民社会セクターについては、SDGsジャパンの推薦により3名の委員が選ばれ、現在に至っています。

2017年以降、SDGsが日本の民間企業や地方自治体などに浸透していくに従い、日本政府のSDGs推進の枠組みも事実上、大きく変わってきました。推進本部は2017年末、政府のSDGs政策の方向性を大きく変える「SDGsアクションプラン2018」を策定。SDGs推進策の「三本柱」として、(1)科学技術イノベーションで社会を変える「ソサエティ5.0」実現によるSDGs達成、(2)地方創生、(3)女性・次世代のエンパワーメントを据えました。これを皮切りに、この三本柱の「実装」に向けた各省庁の取り組みが本格化。総理官邸、内閣官房、環境省、文科省、総務省、経産省等を軸に、課題ごとに省庁間にまたがる様々な枠組みが誕生し、2012年に始まったSDGs策定プロセス以来、SDGsの「リード役」となってきた外務省の役割も、「とりまとめ役」「海外への発信役」へと変わってきています。

 

2.「誰一人取り残さない」を軸とするSDGsジャパンの政策提言

(1)政府との対話

SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)は、2016年の設立以来、政府のSDGs政策への提言および政策的働きかけ(アドボカシー)とSDGsに取り組む日本のNPO/NGOと海外の市民社会との連携・発信を活動の柱の一つとしてきました。

SDGsは「誰一人取り残さない」という考え方のもとに、貧困や格差のない持続可能な社会・経済・環境をつくるという、国際的に共有された目標です。SDGsジャパンは、日本のSDGs政策が国内・国際ともに、SDGsの本来の趣旨を軸にしながら進められるように、また、日本のSDGs政策が国内外で貧困や格差、環境等の課題に取り組むNPO/NGO、市民社会の声を反映し、主流化した形で進められるように、政府との定期的な対話に取り組んできました。

特に、2017年に政府が「SDGsアクションプラン」を策定してから、日本のSDGs政策は、本格的に、「科学技術戦略」「経済成長戦略」「輸出戦略」を軸に進められるようになりました。SDGsジャパンは、こうした傾向に対して、SDGsに関わる様々なNPO/NGOの声を集めてほぼ1年をかけて「SDGsボトムアップ・アクションプラン」を策定、貧困・格差のない持続可能な社会・経済・環境を実現するという観点から、定期的に政府のSDGs推進本部事務局(外務省地球規模課題総括課)との対話を行っています。また、SDGsにかかわる様々な機会に、政府に対して公式・非公式に提言や働きかけを行っています。

(2)政党等との対話・意見交換会

日本のSDGs政策は主に、総理官邸を中心とする政府「推進本部」や各省庁、地方自治体など行政機関を中心に進んでおり、立法府(国会)や政党などについては、一部を除いて必ずしも活発とは言えません。しかし、「誰一人取り残さない」SDGsを実現するには、国会、政党の関与は不可欠です。ですので、SDGsジャパンは、参議院の「ODA特別委員会」等で参考人発言を行うなど、国会における直接の取り組みを行ったり、与党・野党を問わず各政党との対話を行い、各政党にSDGsに関する検討を行う委員会やチームの設置を働きかけたり、各政党の政策や公約にSDGsについて言及してもらうなどの働きかけを行っています。

(3)SDGs推進円卓会議を通じた働きかけ

2016年の「SDGs実施指針」策定の過程で設置された「SDGs推進円卓会議」は、現在、年に2回、6月と12月の閣議に合わせて開催される「SDGs推進本部」会議の1か月前を目途に、政府のSDGs推進施策についての各セクターの意見を聞くという観点で、年に2回開催されています。市民社会選出の委員は、14名のうち3名を占めており、市民社会の立場から、SDGs推進円卓会議の活性化や、政府のSDGs政策に市民社会の声を反映するために積極的に取り組んでいます。

 

3.SDGs推進本部事務局と市民社会の意見交換会の議事録

SDGsジャパンとSDGs推進本部事務局(外務省地球規模課題総括課)は、現在、SDGs円卓会議開催の1~2週間前を目途に、意見交換会を開催しています。政府との意見交換会は、SDGsジャパンの前身の「動く→動かす」がSDGsの策定に関する意見交換会の開催を始めた2012年から行われており、合計30回以上を数えます。このコーナーでは、2018年以降の意見交換会の議事録を公開します。

同意見交換会では、NGO側が意見交換会の議事概要をまとめ、外務省側の確認を経て、双方が承認したものを掲載しています。以下、ご覧いただければ幸いです。

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