【SDGs Blog】「次世代」の声を政策意思決定の場へ届ける
SDGsジャパンの事業統括ユニットのひとつ、ユースユニットの幹事団体である、持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)の星野圭音さんにエッセイ「「次世代」の声を政策意思決定の場へ届ける」を寄稿いただきました。
※本エッセイは5月26日に発行予定メールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」に寄稿された原稿を加筆修正いただきました。
昨今、選挙権年齢・成人年齢が18歳へ引き下げられるなど、日本社会において若者の自立が促され、若者の積極的な政治・社会参画が期待されています。一方で、貧困や学校・SNSでのトラブルなど、学生であり、就活生であり、部下である若者にしか気づけず、精神的不安を抱え、経済的な余裕がなく、声を上げづらい若者同士でしか共有できない課題が依然として存在し、若者の脆弱性に対する配慮が実社会において十分なされているとは言い難い状況にあります。
持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)は、社会の全ての人々が公平に自らの意見を政策に反映させる、衡平で公正な社会を目指す若者のプラットフォームです。JYPSの目標は、普及啓発活動により地球規模課題に対する若者の意識を喚起すること、また若者の意見を集約し、国内外の政治的枠組みや諸政策に反映させることです。
国連が発表した報告書『Our Common Future』(1987年)によれば、持続可能な開発とは「将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発」であり、SDGs達成において、将来世代である若者が重要なステークホルダーの1つであることは国際社会全体で合意されています。若者の声は、決して無視されてはならず、社会に対して率直な意見を述べることは若者にとって当然の権利です。
SDGsを含む2030アジェンダが国連で採択された2015年以降、JYPSはHLPF(国連ハイレベル政治フォーラム)やECOSOC Youth Forumなどの国際会議に参加し、若者の意見の重要性を訴えてきました。国内外の若者団体との協働を重視しており、2021年11月に開催されたCOP26のジャパンパビリオン内では、東京オリンピック2020大会、そして2025年開催予定の大阪万博に対する若者の意識をカーボンニュートラルの観点から調査し、Climate Youth Japan(CYJ)と共に報告しました。
国内では気候変動や生物多様性、ジェンダー、貧困などの課題に関して、若者が包括的かつオープンに議論するイベントを定期的に開催しています。一方的な知識啓発に留まらず、多様なバックグラウンドを持つ若者が集い、課題発見、状況分析、提言文の起草・手交を一貫して行い、地球規模課題に主体的に向き合うことができるような支援をしています。
こうした活動が評価され、2021年12月から、日本政府による「SDGs実施指針」策定に携わるSDGs推進円卓会議に、若者を代表する構成員が、JYPSより新規に参画しています。徐々に進みつつある若者の意思決定の場への参画を背景に、2022年3月には、SDGs問題を取り扱う外務省国際協力局の地球規模課題総括課長へ手交した提言文では、以下の2点を指摘しました。
SDGsに対する取り組みにおいて若者の意見を継続的に反映していくことの重要性
一部の若者の声を取り上げるのではなく、脆弱な立場に置かれる若者も含め「誰一人取り残さない」形で幅広く意見を取り入れることの必要性
この提言に対し、外務省側からは「若者世代の考え・取り組みがSDGsの達成に不可欠であり、今後の若者との協力を促進したい」とのコメントをいただいています。
JYPSの活動は、少数のリーダー格の若者に他のメンバーが付き従うことで運営されるものではありません。若者同士が対等な立場で協力し、自らの意見を政策に反映させるという目的を持って行われるのです。JYPSは今後も、若者全員の協働による「誰一人取り残さない」社会の実現に貢献していきます。
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