C7サミット2023開催、政策提言書を岸田総理に直接提出
広島G7サミットの公式エンゲージメントグループ「Civil7(C7)」の事務局を務めるG7市民社会コアリション2023事務局の責任者であり、C7運営委員も務める、特定非営利活動法人国際協力NGOセンターの堀内葵さんにエッセイを寄稿いただきました。
※本エッセイは6月1日に発行されたメールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」に寄稿された原稿を加筆修正したものです。
先日開催されたG7広島サミットに向けて、社会の様々なステークホルダーが政策提言を行ってきました。「エンゲージメントグループ」と呼ばれるこの仕組みのうち、市民社会やNGOの集まりが「Cvil 7(C7)」です。
C7には72か国から700名以上の市民社会関係者が集まり、具体的な政策提言を検討してきました。4月13~14日に東京都内で開催した「C7サミット」にてG7政府代表に対して政策提言書を提出し、また、それに先立つ12日(水)にはG7議長を務める岸田文雄・内閣総理大臣に直接提出しました。
C7からの政策提言書は、「1.核兵器廃絶」、「2.気候・エネルギー正義」、「3.公平な経済に向けた変革」、「4.国際保健」、「5.人道支援と紛争」、「6.しなやかで開かれた社会」、という6つの分野別ワーキンググループが中心となって作成されました。それぞれのワーキンググループに2名のコーディネーターを置き、オンライン会議を複数回開催して、世界中の市民社会、とりわけ、グローバルサウスと呼ばれる開発途上国や開発援助を受け取る側の国・地域の人々から意見を出していただき、G7サミットでの議題に合わせたものになるように検討してきました。
例えば、「2.気候・エネルギー正義」では、地球温暖化を1.5℃に抑えるために、2030年までに2019年比で43%以上の温室効果ガス排出量を削減する必要があることや、気候・環境政策の意思決定において先住民族・若者・女性・移住者や周縁化されたコミュニティの参加を促進し、スキルアップの支援や市場・資源などへのアクセスを促進することなどを提言しています。
「4.国際保健」では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)実現のための資金の増額、プライマリー・ヘルス・ケアの強化、これまで予防や治療へのアクセスの面で途上国が取り残されてきたいわゆる「生活習慣病」や精神疾患などの予防や治療へのアクセスについて、「公正なアクセス」実現のための政策を提言しています。このほか高齢化に伴う認知症やそれ以外の疾病などへの対策の必要性や、パンデミック対策医薬品の開発への公的資金投入についても盛り込んでいます。
また、「1.核兵器廃絶」は、G7サミット開催地である広島の市民社会関係者からの強い要望を背景として、新たに設置されたワーキンググループです。G7首脳たちが広島の被爆者から直接話を聞き、核兵器使用による人間や環境への害を認識することや、核兵器使用の脅威を明確に非難し、紛争時に核兵器に頼るあらゆる選択肢を否定することを提言しています。
経済、人道支援、開かれた社会に関する提言についても、世界中の市民社会の活動を元に作成されており、持続可能な社会の構築に向けて、G7諸国が政治的責任を果たすことを求めています。詳細はC7およびG7市民社会コアリション2023のウェブサイトをご参照ください。
G7には、「エンゲージメントグループ」と呼ばれる、政府とは独立したステークホルダーにより形成される各グループが存在し、G7で議論される関心分野について、G7の成果文書に影響を与えるべく政策対話や提言を行います。
Civil Society 7(通称C7)はこのエンゲージメントグループのひとつで、市民社会により組織されます。毎年、議長国の市民社会が中心となって、G7国のみならず、G20諸国や開発途上国等の市民社会と協働しながら提言をまとめ、G7に向けて発信します。
G7市民社会コアリション2023は、2023年に日本の広島県で開催されるG7サミット首脳会議および関連閣僚会議に、市民社会の声が反映され、2030アジェンダが掲げる「誰ひとり取り残さない社会」の実現に貢献できるよう、議長国である日本政府を含むG7各国政府に働きかけるためのプラットフォームです。SDGs市民社会ネットワークは、C7サミットを支える日本組織である、G7市民社会コアリション2023の幹事団体及び共同事務局としても活動を行っています。
C7ホームページ: https://civil7.org/
G7市民社会コアリション2023ホームページ: https://g7-cso-coalition-japan-2023.mystrikingly.com/
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