[SDGs Blog]SDGsから政治を問う
7月20日、SDGs市民社会ネットワークの事業のひとつ、政策提言事業を担う、アドボカシー・コーディネーターの久保田将樹のエッセイ「SDGsから政治を問う」がメールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」で掲載されました。
以下寄稿された原稿を加筆修正したものをご紹介します。
民間会社が実施した最近のSDGsの意識調査では、SDGsの認知度は80%を超えています。メディア報道でもSDGsの話題が増え、企業活動にも「ビジネスと人権」や「環境アセスメント」を通してSDGsが浸透してきているのではないでしょうか。一方で、その成果や達成度合いに関する情報はまだまだ少ないように思います。
第9回SDGs認知度調査(朝日新聞社)https://miraimedia.asahi.com/sdgs_survey09/
第6回「SDGsに関する生活者調査」(電通)https://www.dentsu.co.jp/news/release/2023/0512-010608.html
SDGsの国際的な報告書「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2022」では、気候危機やコロナ危機、エネルギー危機、食料危機によってSDGsの進捗は2年連続して後退したと指摘されています。一つの課題が、環境・経済・社会に複合的な悪影響を及ぼしているのが現状です。一方で、SDGsでは一つの取り組みが複数分野での課題解決に資するという一石二鳥の成果につながるマルチ・ベネフィットの理念も注目されています。
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その鍵の一つが政治によるSDGsの推進です。SDGsを定めた「2030アジェンダ」では政府や国会もSDGs推進のための重要なステークホルダーだとされており、その役割であるセクター間の連携促進や法律の制定、予算の編成と執行はSDGs達成に欠かせません。
今、政府は、日本の国内外でSDGsを達成するための国家戦略と位置付ける「SDGs実施指針」(以下、本指針)の改定に取り組んでいます。本指針は2019年に一部改定されており、今回が2回目の改定となります。今回の改定では前回より多くの市民から意見や提言を得て議論を進めるために、SDGs推進円卓会議の民間構成員が中心となって2022年に2回の「SDGs実施指針に関するパートナーシップ会議」が開催され、オンラインでのべ440名の市民が議論に参加しました。
その成果がまとめられた提言書を基に、政府が本指針のドラフトを作成し、今秋にはパブリック・コメントが実施される予定です。パブリック・コメントは、市民が個人レベルで政府の意思決定プロセスに直接参加できる機会です。2019年の改定では、パブリック・コメントにジェンダーに関する意見が多く寄せられたことで、本指針で「ジェンダー平等の実現」が優先課題に掲げられるという大きな成果につながりました。
日頃の生活や仕事でのSDGsの活動に加え、市民が政治に参加することでSDGsを多面的に推進していく、そんな取り組みを広げることもSDGs市民社会ネットワークが目指す社会像です。SDGs達成期限までの中間年である今年、市民や当事者の声を大きなうねりの原動力とするため、SDGsの視点で政治を問うていきませんか。
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