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[SDGs Blog]「グローバルヘルス戦略」ができるまで


SDGsジャパンの事業統括ユニットのひとつ、国際保健ユニットのメンバー団体である、公益財団法人 ジョイセフGII/IDIに関する外務省/NGO定期懇談会 事務局長の神谷麻美さんにエッセイ「「グローバルヘルス戦略」ができるまで」を寄稿いただきました。


※本エッセイは9月8日に発行されたメールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」に寄稿された原稿を加筆修正いただきました。


※国際保健ユニットは国内外で脆弱な立場に置かれた人々に対し、特に保健・医療分野で活動する「GII/IDIに関する外務省/NGO懇談会(通称:GII/IDI懇談会)」のNGOメンバーで構成されています。

 

SDGsゴール3では、全ての人が適切な価格で医療にかかれることを指すユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成が掲げられています。2022年5月末、UHCとPPR(公衆衛生危機に対する予防・備え・対応)を2本柱とした「グローバルヘルス戦略」が発表されました。これまで、日本政府は国際保健分野において、国際的にリーダーシップを発揮してきた経験から、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行下、ポストコロナ、さらには新たなパンデミックに備え、日本が国際社会の中で、世界の健康課題への取組を主導していくことを狙ったものです。


これまで政府は、1994年の「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII)」にはじまり、6つの国際保健に関する戦略を打ち出してきました。同時に、国際保健課題には草の根で活動するNGOの役割が重要であり、外務省とNGOの連携を目的に「GIIに関する外務省/NGO定期懇談会」(のちに、2000年の九州・沖縄サミットで発表されたエイズ以外の感染症も含めた「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」をきっかけに、 現在の「GII/IDIに関する外務省/NGO定期懇談会(GII/IDI懇談会)」と改称)をスタートし、NGOと外務省の定期対話は、通算160回になります。約5年ごとの戦略改定のたびに、NGO側では開発途上国の現場の声を上げ、戦略がより途上国の状況改善につながるよう働きかけをしてきました。今回のグローバルヘルス戦略に対しても、GII/IDI懇談会が主導したNGOとの対話がとても大きな影響を与えました。


まず、戦略策定にあたり、政府の設置したタスクフォースの委員にNGOスタッフが含まれ、策定プロセスの中心に入っただけでなく、戦略の骨格案の段階から、NGOと戦略策定を担当する内閣官房の間で3回に渡る対話を持った他、外務省とも3度の意見交換、戦略文案作成やインプットを行いました。結果、市民社会に関する記述も圧倒的に増えた他、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)などの課題も明記される等、NGOからの意見が多く反映された戦略となりました。GII/IDI懇談会が設置されて28年、ここまで策定のプロセスに関与できたのは初めてのことです。


7月19日には、「グローバルヘルス戦略」のシンポジウムを開催しました。シンポジウムは、会場とオンラインのハイブリッド方式で、およそ120人が参加。 政府、学者、NGOの立場から、それぞれ戦略を評価し、議論しました。 グローバルヘルス戦略は、まだ策定されたばかり。この戦略どおり日本が国際保健を牽引し、「すべての人が健康な」社会に近づけるか、私たちはウォッチを続けるとともに、戦略を有効的に活用しながら、コロナパンデミックからの1日も早い回復を目指さなければなりません。



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