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[SDGs Blog]視点を変えてみること

SDGsジャパン理事である、長島美紀のエッセイを公開しました。

※本エッセイは11月24日に発行されたメールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」に寄稿された原稿を加筆修正したものです。

 

「ジェンダー平等を謳う割に、参加者のジェンダーバランス悪すぎませんか?」


先日とある自治体のイベントに参加したときのことです。イベントでは、市が課題とする複数のテーマを取り上げ、市内外の関係者、専門家などが議論するものだったのですが、女性の参加者が少ないことは、一目瞭然でした。参加者名簿を見る限り、男性と思われる名前と女性と思われる名前の比率は3.5対1程度。これでジェンダー平等について議論するんですか?


その疑問に対し、過去何回か、同市のイベントに参加されていた方が耳打ちしてきました。


「以前よりずっと増えたんですよ、これでも。」


これまでの会議では女性の数はもっと少なかったそうで、女性の参加者がいたとしても、市職員がスタッフとして参加しているなど、実質女性の参加者がほとんどいなかったのだとか。「住民の女性が参加していること自体がすごいんです」という言葉に、うーんと唸ってしまいました。


一見すると「それは問題ではないか」と思う状況も、視点を変えると、問題を解決するための変化の途上であることがあります。「ジェンダー平等」といっても一日で達成するわけではありません。そのための理解を深め、「自分が参加してもよい」「意見をみんなの前で表明しても良いんだ」と思ってもらうようになるまで、さらに、その意義をジェンダーに関わらずすべての参加者、関係者が理解するには、時間と様々なプロセスが必要です。


例えば最近話題になっている「年収の壁」。


世帯主の扶養範囲内で、いわゆる主婦や主夫がパートやアルバイトの短時間労働を行う際、103万円や106万円といった年収を超えると税金の支払いや社会保険への加入などが発生し、結果、手取り収入が減ってしまう現在の制度は、「男性が主たる世帯の稼ぎ手で女性は専業主婦」という、かつて「標準」とされた世帯のスタイルが、今なお制度として残されていることがあげられます。


この制度を運用する国の担当者も、また制度を審議する専門家も、この「標準的な家庭のあり方」を視点を変えてみない限り、問題点は認識できません。この場合の問題点は、共働き世帯の割合が、専業主婦/主夫世帯より多いにもかかわらず、一方が従たる稼ぎ手になっている、ということです。


内閣府が2022年に発表した「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」では、性別役割に関する項目で「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合を見ると、こんな結果が見られました。


「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」(男性1位48.7%/女性1位44.9%)

「家事・育児は女性がするべきだ」(男性11位27.3%/女性11位20.7%)


ジェンダー平等が謳われる一方で、今も2人に1人が「男性たるもの~」と考えている現状。この視点を「男性も女性も仕事をすべき」「家事・育児は男女ともにすべき」に変えるには、まだまだ時間がかかりそうです。

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