top of page

[SDGs Runners]開発教育協会

SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体である認定NPO法人開発教育協会(DEAR)の事務局長中村絵乃さんより、同団体のSDGsの達成に向けた取り組みについてご紹介いただきました。

 

1.DEARについて

DEARは、公正で持続可能な社会づくりに参加する人を育成する開発教育を推進する教育NGOです。1982年に任意団体として設立され、今年の12月で40周年を迎えます。


開発教育という名の通り、設立当初から、DEARは「開発(development)とは何か」そして、「開発問題を学ぶとはどういうことか」を問い続けてきました。


具体的な活動としては、①ネットワーク事業(国内外の団体との情報経験交流、連携協働)、➁実践・研究事業(d-lab(全国研究集会)開催や機関誌の発行、各種研究会の開催など)、③情報・出版事業(教材・書籍の企画・編集・発行、会報の発行)、④人材育成事業(講座・研修・講師派遣など)、⑤政策提言事業(政府・国際機関への提案・意見交換等)を行っています。


全国にいる約650名の個人会員、40の団体会員と共に、緩やかな学びのネットワークを築いています。


2.SDG4「教育目標」への取組

SDG4「教育目標」は「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことをめざしています。DEARはSDG4やターゲット4.7の策定過程にも積極的に参加してきました。


具体的には、日本政府の「SDGs実施指針」や「SDGsアクションプラン」について、SDGs市民社会ネットワークの教育ユニットとして、SDG4.7をすべての教育において主流化していくことや、国内の教育課題と政策について提案しています。そのほか、教育協力NGOネットワーク(JNNE)のメンバーとして、「SDG4教育キャンペーン」のプログラム作成と実施に協力し、SDG4の達成に向けたキャンペーンを推進しています。


また、SDG4は子どもの教育のためだけのものではありません。大人が学ばなければ社会は変わらない。そして、大人の学びを置き去りにしない、という観点から、12年に一度開催される「第7回ユネスコ国際成人教育会議」(2022、モロッコ)への準備プロセスに関わりました。文部科学省へのアドボカシーや懇談を重ね、アジア南太平洋基礎・成人教育協会(ASPBAE)とも連携し、日本政府代表団の一員としても会議に参加します。


3.「SDGs学習」について

現在、学校や地域では、盛んに「SDGs学習」が行われていますが、SDGsの17のゴールの理解と関心や経験の紐づけに終始してしまうことも多いようです。


2015年に国連総会で採択された「我々の世界を変革する 持続可能な開発のための2030アジェンダ」(以下、「2030アジェンダ」)に記されている、現在の地球が存続の危機にあるという警告や、経済・社会・環境全てにおいて変革をすすめるという決意、人権に基づいた公正や共生の理念については、あまり深く議論されていないようです。


17のゴールは、「持続可能な社会」をつくるためのプロセスでしかありません。そもそも、なぜ今、SDGsが必要なのか、なぜ世界は不公正で持続不可能なのか、その社会に私たちはどのように加担しているのか、今までの開発の問題を振り返り、何をどう変えていくのか、について真剣に考えない限り、ゴールがいくつあっても、世界は変わらないでしょう。

そこで、DEARでは、「2030アジェンダ」全体の理念をとらえつつ、それらに基づいたSDGs学習を培うことを目的に『SDGs学習のつくりかた 開発教育実践ハンドブックⅡ』を発行しました。ぜひ、ご一読いただいて感想をいただけますと幸いです。


4.開発教育教材~変革につながる学び

DEARでは、全国の会員と共にこの40年間で、40種類を超える教材を発行してきました(教材例:『ワークショップ版 世界がもし100人の村だったら』『パーム油のはなし』『スマホから考える世界・私・SDGs』など)。


教材では、国内外の開発課題について写真や情報を読み解いたり、様々な立場に立って考えたり、ジレンマを疑似体験したりして、自分の考えの捉えなおしや、もっと知りたいと思うことにつながる学びを提供してきました。


教材は世界の状況を知るためのほんの入り口で、教材を体験したからといって、全てが分かるわけでも、問題が解決するわけでもありません。教材を通して自分に迫ってきた問題の本質や、今まで存在すら知らなかった人々の声や意見、自分の中の驚きや気づきを、他の人との議論や、さらなる学び・経験を通して、広げてほしい、考え続けてほしいと思っています。


さらに、教材を使う側にも、なぜ、その教材を使うのか、どのような目的で、何を学んでもらうのか、自分自身はその問題にどう向き合っているのか、を考えてほしいと思っています。実際に、DEARの教材を活用される多くの方々は、教材自体も批判的に読み解き、足りない部分は情報補填をして、子どもたちの現状や関心にあった形で活用し、子どもたちと一緒に学んでくださっています。


既存の制度や思考の枠組みの中や延長上に、持続可能な社会は訪れません。だからDEARはこれからも、「我々の社会を変革する」ことにつながる学習づくりを応援し続けたいと思います。


閲覧数:119回

関連記事

すべて表示

Comments


最新記事
​カテゴリー
bottom of page