[SDGs Runners] ピースボート
SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体であるピースボートのメリ・ジョイス さんより、同団体の取り組みについてご紹介いただきました。
1983年に設立された国際交流NGOピースボートは、国連「持続可能な開発目標」 (以下SDGs) の達成を目指すさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。ピースボートは「みんなが主役で船を出す」を合言葉に国と国との利害関係とは違った草の根のつながりを作り、地球市民の1人として平和の文化を築くことを目指しています。そのような地球市民のネットワークづくりに必要な人との「出会いの場」、世界が抱えるグローバルな課題を現地の人たちと共に考える「学ぶ場」、そしてそれを踏まえて実際に一人一人が「行動できる場」という三つの場を、地球一周の船旅や日本で行う様々なイベントや企画を通して提供しています。
2016年8月に出航した地球一周の船旅から、ピースボートが使用する客船の船体そのものにSDGsのロゴマークをペイントしています。以来、国連や地元の団体と様々なイベントやプログラムを企画し、世界中の港でSDGsの重要性をアピールしています。また、船内では多彩なゲストやユースを各国から招き、講義やワークショップ、参加者との交流などを通じて、SDGsと関連するテーマについての理解を深めています。一つの課題を個別のものとして捉えるのではなく、ローカルなものからグローバルなものまで、さまざまな課題が互いに関連していることを重視するピースボートの教育プログラムや理念そのものが、SDGsの考え、また、「誰一人取り残さない」という理念に共通します。
より具体的な事例としては、2017年より「海洋保護・気候行動のためのユースアンバサダー・プログラム」を企画しています。気候変動によって深刻な影響を受けている太平洋、インド洋、カリブ海の島嶼 ・沿岸諸国で、気候変動・海洋保護問題(SDG13・14)に精力的に取り組む若手の活動家や研究者、政府機関職員を「アンバサダー」として船に招待しています。洋上では今後求められる見識を深めるとともに、訪問する国の人びとに、気候変動と海洋汚染によるコミュニティーへの影響や被害について説明し、当事者の生の声を届けています。プログラム後も様々な分野で活躍する参加者同士のネットワークを大事にし、互いにサポートやアドバイスができる仕組みを構築しています。これ以外にも、「地球大学」などの国際教育・平和教育プログラムも洋上や日本で企画し、多くの若者や市民にグローバルな課題について学び、行動をする機会を提供しています。
「過去の戦争を見つめ、未来の平和をつくる」というスローガンで始まったピースボートは、SDG16が掲げる平和と正義のための活動も数多く行っています。特に、2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営団体として、核兵器禁止条約にすべての国が加わることを求めて、提言・教育活動を展開しています。核兵器は、甚大な被害をもたらすだけでなく、その後も長く続く放射能被害を広める非人道的な大量破壊兵器です。その被害を最も理解する広島・長崎の原爆の被爆者、また世界各国の核被害者とともに、ピースボートの船旅や国連などでの国際会議で核廃絶のメッセージを届ける活動も精力的に行っています。
これからも、ピースボートは多くの市民や世界各国のパートナーとともに、SDGsがめざす平和で持続可能な世界のために航海し続けます。
リンク:
ピースボートの活動について: https://peaceboat.org/projects.html
【世界を学ぼう】オンライン勉強会シリーズ(毎週): https://peaceboat.org/projects/bkk.html
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