[SDGs Runners]ピープルズ・ホープ・ジャパンのSDGs達成のための取り組み
SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団ピープルズ・ホープ・ジャパンの取り組みをご紹介いただきました。
1.PHJのHappy-HappyコンセプトとSDGs
特定非営利活動法人(認定NPO法人)ピープルズ・ホープ・ジャパン(以下PHJ)は、1997年創立以来、保健・医療分野における国際協力活動と災害支援活動を実施してきており、2003年からは母と子の健康・栄養改善に焦点をあてた活動を展開してきました。
現在カンボジアではコンポンチャム州ストゥントロン保健行政区で「子どものケア支援ネットワーク強化事業」をミャンマーではネピドー特別行政区レウエイ郡で「妊産婦と新生児の健康改善のための保健システム強化支援事業」を実施しています*1。
これらの事業は2015年の国連総会にて全会一致で採択された世界共通の開発目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」の17目標中目標3「すべての人に健康と福祉を」の実現に貢献する取り組みです。
PHJの活動は、ゴール 5(ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化)、ゴール 6(安全な水とトイレを世界中に)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)にも関連するものです。
PHJは、支援を必要とする人々の「幸せになるHappiness」、支援する人々の「人を幸せにするHappiness」、PHJ 役員・スタッフの「幸せの橋渡しをするHappiness」を実現する事業を目指しており、私たちはこれを「Happy-Happy コンセプト」と呼んでいます。下記の図で示すように、SDGsの基本精神「誰も置き去りにしない」と通底するコンセプトであり、支援を必要とする人々だけでなく、支援する人々も、私たち自身も一緒になって「すべての人が健康で希望をもってくらせるように」自他共の幸せを協同で実現することを目指します。*2
2.SDGs推進活動
PHJの東京事務所では、2020年度から本格実施を迎えた新学習指導要領に明記された「持続可能な社会の創り手育成」に沿った訪問学習を提供しています。具体的には、PHJ事務所所在地近隣の中学校の生徒たちを対象に、国際協力NGOであるPHJがカンボジアやミャンマーで取り組んでいるグローバルな保健・医療の課題とSDGsとの関係について理解を深め、学習意欲を高めるプログラムの提供です。
例えば、PHJは2000年に国連ミレニアムサミットで採択された「ミレニアム開発目標」(MDGs)の目標3,4,5,6に沿った活動を東南アジアで行ってきたこと。2016年からはSDGsの目標3を中心とした支援事業を実施していることを説明しています。
また、映像やオンラインでカンボジア事務所が取り組んでいる保健センターのスタッフ向け研修プログラムを紹介したり、助産師が妊産婦向けに、安全な出産と産まれた子どもの健康を確認するための定期検診の重要性を説明するプログラムなど、教育を通して保健・医療状況の改善活動を実施していることを知る機会を提供しています。
2021年10月には三鷹市立の中学校の生徒8名に、11月には東村山市立中学校の生徒と引率教師14名に、PHJの活動とSDGsの関係をカンボジア事務所とオンラインでつなぎ説明しました。所長やプロジェクトマネージャーのお話を中心に、生徒さんたちと現地との交流の時間も設けました。
「NGOスタッフの貴重な体験を聞いて、リアル感が伝わってきて楽しかった」
「アジアの母と子が抱えている問題に心を痛め、また、心に残った」
「自分のできることでSDGsに貢献していきたい」
「今回の学習で一番心に残ったことは、PHJがMDGs推進活動を実施し、更にSDGs活動を継続していることです」
などの感想を頂きました。
3.事業地でのSDGs教育
2020年12月カンボジア事務所は、ドナー企業様からのSDGsペンの寄贈をきっかけにSDGsの啓発活動を行いました。コンポンチャム州保健局の母子保健担当スタッフ、ストゥントロン行政区長へペンを寄贈し、SDGs賛同の意志を表明していただきました。
SDGsは、世界中が取り組むべき目標です。
しかし、カンボジアではSDGsの認知度は低く、一般の人々には概念が浸透していないため、PHJの現地スタッフもSDGsについてはよく知らないというのが実情でした。
今回SDGsのペンの寄贈をきっかけに、事業地内の小学校でSDGsのイベントを開催しました。小学生に「SDGsって何?」をきちんと伝えられるように、スタッフは業務の合間にSDGsの勉強に励みました。子どもたちにわかりやすく教えるために教材も作りました。日本の企業から贈られたペンが、カンボジアの小学校でSDGsの啓発につながり、「持続可能な世界の実現を目指す」ために、身近な生活の場から実際の行動を起こすきっかけとなることを期待しています。*3
PHJは2022年度にも武蔵野市・三鷹市の中学生向けにNGOとSDGsの訪問学習を受けいれ、「持続可能な社会の創り手の育成」に貢献していきます。
参考資料
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