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【SDGs Runners】シャンティ国際ボランティア会

SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体である公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会平島容子さんより、同団体のSDGsの達成に向けた取り組みについてご紹介いただきました。

 

「絵本を届ける運動」の取組みとSDGs


シャンティ国際ボランティア会はアジアを中心に7か国8地域で活動する日本生まれのNGOです。

「共に生き、共に学ぶ」ことができる平和な社会を目指して、子どもたちへの本を通じた教育文化支援、国内外の災害や紛争後の緊急人道支援に取り組んでいます。

 また、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標 4. 質の高い教育をみんなに」をはじめ、教育課題の解決だけでなく、SDGs が掲げる様々な目標達成に寄与することを目指し、取り組みを行っています。


団体の設立


タイ国境に逃れたカンボジア難民の緊急支援活動を行う団体として、1981年に日本で設立されました。当時、タイとカンボジアの国境は、数えきれないほどの難民で混乱を極め、キャンプ内では日々多くの人々が命を落とすという緊急状態にありました。中には、肉親を殺され、喜びや悲しみの感情を表現することを忘れてしまった子どもたちもいました。子どもたちに笑顔を取り戻すために何ができるか、未来に向かって生きていく力を持ってもらうためにどのような活動ができるかを考え、試行錯誤を繰り返しながらたどり着いた結果が、読書や絵本を中心とした教育文化支援活動でした。


「絵本を届ける運動」とは


紛争や貧困などの理由から絵本に出会う機会の少ない子どもたちに、日本からアジアの国や地域に翻訳絵本を届ける『絵本を届ける運動』を開始しました。1999年に始まり、2022年で23年目を迎えました。現在は、カンボジアやアフガニスタンなど5か国に6言語の絵本を届けています。

これまでに届けた絵本は36万冊、絵本のタイトル数は291タイトル、参加者は延べ29万人にのぼります。


絵本を届ける運動が目指すこと


1) アジアの国々への共感と国際理解を促進する


翻訳絵本作りは、 日本語の絵本に現地語の翻訳シールを切って貼り、1冊の翻訳絵本をつくるという取り組みです。普段接することが少ない言葉に触れたり、同封されている現地のことばとひらがなの対語表を見ながら自分の名前を書いたりする経験を通して、知らない国や民族、言葉を知るきっかけになります。参加者からは「英語以外の言語で自分の名前を書いたことがないので新しい経験だった」「もっとその国のことが知りたくなった」などの声が挙がり、言葉を通してその国や文化への関心が深まるきっかけになっています。




2) ボランティア活動、 SDGs 実践への参加の機会を提供する


SDGsへの関心が高まり、実際に参加できる機会として、毎年多くの企業・団体・学校が「絵本を届ける運動」に参加しています。絵本はどの世代にとっても身近であるため、普段ボランティア活動に参加する機会が少ない方にとっても取り組みやすいテーマです。子どもも取り組みやすく、家族での参加も増えています。


定期的に翻訳絵本作りのワークショップを開催しています。ワークショップでは翻訳絵本つくりのほか、活動地の様子や絵本を受け取った子どもたちの状況などをお伝えしています。コロナ禍では対面でのワークショップの開催が難しいことから、オンラインワークショップも多く実施しています。



3) アジアの子どもたちに読書の機会を届け、教育文化支援に協力する

各国に届いた絵本は、図書館や学校に配布されたり、移動図書館活動の蔵書として活用されたりしています。 現地の子どもたちは毎年日本から絵本が届くことを心待ちにしています。 絵本のテーマは普遍的で、子どもたちの想像力をかきたて、読書の体験を通して楽しみながら学ぶことができるため、現地でも愛され、繰り返し読まれています。このように、絵本は子どもたちにとって、厳しい環境の中でにも、学ぶことの楽しさに出会い、より良い人生を切り拓いていくための力となっています。



「絵本を届ける運動」は20年以上にわたり、国内の子どもから大人まで幅広く参加いただいてきました。小さいころ保護者と一緒に絵本づくりに参加した女の子が、社会人になって今度は自ら参加してくれるという嬉しい場面に出会うこともあります。


シャンティの活動地では、依然として児童書が不足している状況が続いており、図書館活動や移動図書館活動を通して、一人でも多くの子どもたちが絵本と出会い、学びに触れる機会を作っていきたいと考えています。活動地で活躍する教員や図書館員の中には、小さいころ、日本から届けられた絵本に出会ったことがきっかけで学ぶことの楽しさを知り、大人になってから次の世代の学びを支える存在となる人たちが出てきています。これからも、「絵本を届ける運動」の参加者の輪を広げ、活動地と国内両方での社会貢献につなげていきたいと考えています。



シャンティ国際ボランティア会ウェブサイト:https://sva.or.jp/

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