[SDGsRunners]ウォーターエイドジャパン
SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体であり事業統括ユニットのひとつ、国際保健ユニットの幹事団体でもある特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンより、同団体のSDGsの達成に向けた取り組みについてご紹介いただきました。
世界では10人に1人が清潔な水を使うことができず、5人に1人が適切なトイレを利用することができません。3分の1の人々が自宅で水と石けんを使って手洗いすることができません。私たちウォーターエイドは、開発途上国の貧困層や脆弱な立場に置かれがち人々が、清潔な水とトイレを利用し、手洗い等の衛生習慣を実践できるようにすることを目指して活動するNGOです。
清潔な水を手に入れることが困難な地域では、遠くの川や池まで水くみに行かなければなりません。この重労働を担うのは多くの場合、女性や女の子たちです。水くみが忙しくて、女の子たちは学校を休まざるをえず、女性たちは、農業や子供の世話に時間を使うことができません。くんでくる水も安全ではないので病気がちになり、さらに働くことができず、薬にお金もかかります。このような状況では、貧困から抜け出すことは難しくなります。このように私たちの活動が直接的に関わっているのはゴール6(水・衛生)ですが、ゴール1、ゴール3、ゴール4、ゴール5を達成するためにも水・衛生が重要と考え、水・衛生に注力して活動しています。
近年、気候変動の影響で、水の入手が困難になっている地域も多くあります。今までは使っていた井戸が枯れてしまった、ということも起きています。干ばつや洪水、サイクロンなどによって、最も被害を受けるのは、頑丈な給水インフラや水資源管理のしくみがない開発途上国の貧困層です。水源が干上がると、女性や女の子たちは、より遠くまで水くみに行かなければなりません。サイクロンや洪水などで脆弱な給水インフラやトイレが破壊されると、水源が汚染され病気がまん延します。
開発途上国で安全な水とトイレを利用できないのは、家庭だけの話ではありません。後発開発途上国の保健医療施設の半数で清潔な水を使うことができません。世界の31%の学校で清潔な水を、37%の学校で適切なトイレを使うことができません。これによって保健医療施設が安全な医療サービスを提供できない、子供たちが安心して学校に通うことができない、といった問題が起こります。
なぜ今も多くの人々が清潔な水とトイレを利用できないのか?-その理由は地域や人によってさまざまです。
日本の例を考えてみても、インフラがあれば清潔な水を飲み続けられるわけではありません。インフラを動かしたり、点検・修理したり、災害後に復旧活動を行ったり、多くの人が水道を支えています。水道事業が持続するよう経営・資金計画を立てて実行する人もいますし、水道料金を払うしくみも整っています。
私たちウォーターエイドが活動する開発途上国には、こういったものが欠けていることが多くあります。水道インフラがあったとしても、維持管理する人材やしくみがない、また、水道料金徴収のしくみがないので、水道事業が資金不足に陥り、水道インフラを動かすのに必要な電気料金が払えず電気が止められてインフラが停止したまま、ということもあります。水・衛生問題を解決するための資金が不足していること、さらには、各国政府が水・衛生問題の解決を優先化していないことも課題です。優先課題でなければ予算もつかない、よって水・衛生問題は解決されないままです。
ウォーターエイドは、各地域で水・衛生のアクセス改善が進まない要因を分析し、その要因を解決するプロジェクトを設計して実施しています。水道や井戸などインフラの維持管理の資金が足りない地域では、政府に対して、インフラを新設するためだけではなく維持管理にも予算を確保するように働きかけたり、維持管理にかかる費用の計算方法をトレーニングしたりしています。水道料金を徴収するシステムを導入したり、料金徴収の人材を育成したりすることもあります。
ウォーターエイドは2022年2月、今後10年間の活動指針となる「グローバル戦略」を発表しました。こちらよりぜひご覧ください。
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